定価:本体1400円+税
2020年2月27日 初版発行
小B6判・上製 本文240ページ
ISBN978-4-9910641-4-2 C0095
賢治とトシとの関係を、ここまで執念をもって、どこまでも追い求めた研究者を知りません。賢治の精神形成に大きな役割を果たしたのが、最愛の妹トシで、そのトシに大きな影響を与えたのが、当時の日本大学校長の成瀬仁蔵氏の授業だったことを、忍耐強く実証的に明らかにしてゆくところは圧巻です。あわせて、この成瀬・トシ・賢治へと流れる「宇宙意志」という概念と、賢治の童話の数々との関係性に、筆者の深い洞察力と愛してやまない賢治への強い想いを感じる作品です。
1964年、岡山県生まれ。ノートルダム清心女子大学文学部教授。博士(文学)。早稲田大学第一文学部卒業。日本女子大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専門は日本近代文学および日本児童文学。著書『宮沢賢治 妹トシの拓いた道―「銀河鉄道の夜」へむかって』(朝文社)により第14回宮澤賢治賞奨励賞受賞(花巻市)。共著に『イーハトーヴからのいのちの言葉―宮沢賢治の名言集』(角川書店)、『宮沢賢治を読む』(笠間書院)、『宮沢賢治―驚異の想像力 その源泉と多様性』(朝文社)、『少年少女の名作案内 日本の文学リアリズム編』(自由国民社)、『宮澤賢治の深層―宗教からの照射』(法蔵館)、『宮沢賢治の切り拓いた世界は何か』(笠間書院)など。論文「宮沢賢治の文学と浄土真宗信仰―信仰の重層性の基層から」により第32回暁烏敏賞受賞(白山市)。